【登山文化の危機! 山小屋ヘリコプター問題】と題して、
雲ノ平山荘の小屋主が、HP上に一文を投稿した。

小屋主の経歴は、
伊藤二朗 北アルプスの山小屋「雲ノ平山荘」経営者。
1981年生まれ。東京都出身。幼少より黒部の源流で夏を過ごす。
2002年に父・伊藤正一が経営する雲ノ平山荘の支配人になる。
2010年、日本の在来工法を用いた現在の雲ノ平山荘の建設を主導し完成させた。
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登山文化の危機! 山小屋ヘリコプター問題
6月末のある日、T航空の荷上げを翌日に控えていた僕たちは一本の電話を受けた。
「ヘリが全て故障したので、当面荷上げはできません」。
ここから今回の騒動は始まった。   まず断っておきたい。
僕自身が当事者としてあまりにも深く関係してしまっている問題のため、
表現は慎重を極めなければならないことだが、
山小屋や日本の国立公園の大きな岐路にもなる事態なので、書きたいと思う。
山小屋や国立公園、航空会社など、
関係する全ての人々が建設的な将来に向けて一歩を踏み出せることを祈って。  
かなり長い文章なのだが、ぜひご一読いただきたい。
そして、ひとりでも多くの方に知ってもらうために、広くシェアしていただければ幸いだ。   
(長文なので以下割愛)  
                                                                                          雲ノ平山荘
全文は、読み難いが   http://kumonodaira.com/news/helicopter.html

YouTubeでアウトドア関係の動画を投稿しているイタガキ氏が、
全文を朗読しながら解説してる動画を見付けた、添付するので参考にして欲しい。

https://www.youtube.com/watch?v=CKcqdWd3mlw 

花谷泰広氏(登山家・ガイド・七丈小屋主)が、7月31日FBに小屋主の立場で投稿。
雲ノ平山荘の伊藤二朗さんの文章です。皆さまにもご一読していただきたいです。

僕もパタゴニアのクリーネストラインで一部触れましたが、
ヘリコプターによって支えられている山小屋という山のインフラ。
山小屋が存続できなくなる(つまりはヘリ物輸がなくなる)その先は、山の荒廃です。

七丈小屋で完全にヘリに依存しているものは、だいたい次の通りです。
それぞれ解決案(できないもの)もあります。

・燃料(灯油、ガスなど)
最悪、ガスはボンベを小さくすれば荷上げはできないことはないが、
灯油には限界がある。もちろん冬の営業はできなくなる。夏の営業も限定的となる。

・し尿処理
現状では全て汲み取って麓に下ろして処理。全面的にヘリに頼らざるを得ない。
ただし登山者全員が携帯トイレを携行して、麓に下ろすことが徹底できれば解決できる。
しかし、徹底ができなかった場合を考えただけで恐ろしい。

・ドリンク類
全面的にヘリに依存。故に山では山の水を楽しむ。どうしても楽しみたければ持参する。

・小屋修繕資材・機材
ほとんどものもがヘリに依存。ヘリがなくなった場合、改修がほぼ不可能となる。

・登山道整備資材・機材
半分程度はヘリに依存。ヘリがなくなった場合、登山道整備が行き届かなくなる。

この事態を、どう見て・どう考えるか?
小屋主が、現状のまま小屋営業を継続したいのなら、割り増し空輸代を払えば済む話。
小屋が北アの最深部に在るので、気象条件も悪いだろうし・他の小屋とハンデは大だ。
乱気流のリスクが有る山岳地帯の空輸よりも、楽な事業展開を志向するのは当然。
ヘリ会社も異存なしだろうし、撤退したヘリ会社も旨味が有れば、再参入するだろう・・・
掛かるコスト増分は客に負担させればいい。
しかし、そんなボッタクリを繰り返してると・・・
其の内、テントを背負う登山が主流の昔の姿に戻るだろう。
小屋が公的云々は、小屋主の言い分で、2束3文で国有地を占有、周辺整備は当然の事。
其れなりの規模の登山道改修や道標整備は、環境省・県が資金手当をしてる。
毎週ヘリ便を発てる必要が有るのか?(生鮮食品・ビール・発電機用油・ガス等の運搬)
フレンチとワインが売りの小屋も有る始末、米飯と汁で充分、夜はランプ、風呂も必要無し。
〝登山文化〟の危機と言うが、山は〝自己完結〟の世界。登り方は文化かも?だが・・・
一泊二食・昼弁当・煎餅布団付を、登山文化とは言わないのだよ、聞いて呆れる。
重い荷を背負い汗垂らして、〝自己完結〟を目指すのが山登りの醍醐味。
空輸費が嵩み不採算なら、事業縮小か廃業が商いの常なのです。
そもそも3千mの稜線や黒部源流の最深部を、日帰り登山の格好で歩くのは間違いのもと、
そんな奴等にしたら避難小屋的要素が有るのかも・・・

多少辛辣に述べたが、国立公園内だから公共的で公費云々と言う発想は???である。
雲ノ平開設から苦節を経て今に至ると思うが、収支は主の責任、国・県関係無しだ。
小屋運営が苦しいなら閉めればいい、そこに往く魅力は小屋目的ではないのだから・・・

※北アの小屋の中には、国立公園法制定以前の戦前から、営林署との馴れ合いで誕生、
  登山ブームと共に肥大化し過ぎた、今更公共的存在等と生存権を主張する徒花・・・


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8月4日付けの信濃毎日新聞記事です。

山小屋荷上げ 1社頼み懸念 ヘリ故障で一部営業開始遅れ

 北アルプスや八ケ岳など県内の山小屋の多くで物資輸送を請け負う東邦航空(東京)のヘリ2機が6月下旬に相次いで故障し、一部の山小屋で営業開始がずれ込むなどの影響が出ている。2017、18年に相次いだ同社運航のヘリ墜落事故の影響もあり、山小屋への輸送に充てられる社有機はこの2機のみ。一方で他社の運航縮小などを受け、県内の山小屋の東邦航空への依存度が高まっていた。山小屋関係者からは「1社頼み」の状況を解消するため、国や自治体とも問題を共有したいとの声が上がっている。

 「ようやく営業できるようになりました」。3日、今季の営業を約1カ月遅れで開始した北アルプス白馬三山の一つ、白馬鑓(やり)ケ岳(2903メートル)中腹にある「白馬鑓温泉小屋」。経営する白馬館(北安曇郡白馬村)の従業員は声を弾ませた。

 白馬鑓温泉小屋は冬季は解体し、雪解け後の毎年6月下旬から7月初めに建て直している。だが今年は東邦航空の小型ヘリ2機が故障し、修理に約2週間かかった。小型ヘリはもう1機あるが、他の業務に使っており、山小屋への物資輸送は一時中断した。

 例年の営業開始は7月10日ころ。登山客から「いつ小屋が始まるのか」と問い合わせが相次いだという。

 北ア鹿島槍ケ岳(2889メートル)山頂近くにあるキレット小屋も、例年通り7月初めに営業を始めたものの、ヘリで食材が運べず、10日間ほど素泊まりのみの営業になった。

 複数の山小屋関係者によると、県内で山小屋への物資輸送を担っているヘリ会社は東邦航空以外にも3社あったが、リスクの少ない公共工事の受注増などを背景に、15年ごろまでに山岳輸送の縮小や値上げが相次いだ。東邦航空によると、同社は現在、長野、富山、山梨県などの山小屋100軒余の荷上げを担当。今回の物資輸送の一時中断で北ア、八ケ岳、御嶽山、南アルプスなどの山小屋に影響が出たという。

 同社では17年11月、小型ヘリの3倍近い運搬能力があり山小屋への物資輸送にも使っていた大型ヘリが群馬県上野村に墜落する事故が発生した。さらに18年8月には運航を受託していた群馬県防災ヘリが墜落。担当者は「大型ヘリの再導入は見通せず、現在の態勢で山岳輸送をやりくりするしかない」と話す。

 長野、富山県境付近の北ア最深部にある三俣山荘の主人、伊藤圭さん(42)=安曇野市=は「1社に頼らざるを得ない中、再び運送の中断が起きないか心配。山小屋は登山道整備なども担い、公共性が高い。国や自治体も問題を共有し、一緒に考えてほしい」としている。

この記事を読むと、夏山シーズンに向けて、各山小屋が一斉に荷上げしたい時期に、
ヘリが故障した為に作業に遅れが出た様です。
しかし、小屋主が言う公共性云々は、他力本願!
来シーズンからは、故障トラブル回避の為に、
小屋主達が余裕を持った荷上げ計画を立案し、
ヘリ会社と連絡を蜜に取れば解消する問題だ。
兄弟揃って、一国一城の主を主張せずに、組合でも作って互いに策を煉ろと言いたい・・・


に続く