海彦・山彦の白秋日記

Ombigaichan 6340m ヒマラヤ襞が綺麗な双耳峰。 この頃はまだ未踏峰だったが・・・今は誰か登ったか?

2022年01月

1月29日
この冬はXmas寒波から、始まり が続く。  
年が明けても、雪の日が続いて、ようやくに・・・
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この冬の、累計降雪量が4m55cm(25日時点)と発表に為る。(2006年は6m15cm)
1日で最大積もったのが、1月12日の40cmだと・・・
雪は自重で嵩が圧縮されるので、今の積雪深は75cmも有る。
4m55cmの雪が、
75cmに圧縮されてると言う事だ・・・(多少解けた分が有ると思うが)
雪の重さは、1㎥当たり新雪で50kg・堅雪で300kg・湿雪で500kgと言われている。

今屋根に積もってる雪は、堅雪なので1坪当たり900kg近い重さが有る・・・
これに暖気で雨でも降れば、水を吸って1トンを超える事に為る。
雪降ろしをしないと、建物は倒壊する。既に県内では、空き屋や工場の倒壊が何件か発生。
雪降ろしでの事故も多発で、68人に及ぶと言う。(死者4・半数が重症)

今日、朝方の冷えてる内に、車庫と土蔵の渡り屋根の雪を降ろす。
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此処だけスッキリだが、車庫の雪庇と土蔵の雪が、落ちれない・・・
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車庫の軒の雪。少しづつ滑って来てるが・・・
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母屋2Fの風下の雪庇。下には何も無いので、自然落下を待つ・・・
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隣家の小屋から滑った雪が、我が家の庭木直撃・・・
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軒の雨垂れが落ちる処から、一間(1.8m)離れた敷地境界を越えて雪が落ちて来る・・・
雪国の田舎ではよく有る事だが、都市部では大問題だろう。

1月末だ、2月中旬までは、まだ降雪が有るが・・・
除雪してても、地面に近い雪が地温で、ザラメ状に為って来てる。確実に春が近着いてる。

里へ降るのは、もう要らない。山へもっと積もって欲しいと思う、この頃だ・・・

1月25日
下野新聞より

那須雪崩事故の一部遺族が県など提訴へ 民事調停が不成立
那須町で2017年3月に大田原高生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、遺族の一部が栃木県(県教委)などに事故の責任を認めて謝罪するよう求めた民事調停の第8回協議が24日、宇都宮簡裁で開かれ、解決のめどが立たないとして調停は不成立に終わった。事故が起きた講習会の責任者だった3教諭の責任の在り方などを巡り、最後まで折り合わなかった。
教員の元締めので有る県教委が、配下が起こした死亡事故に謝罪も出来ないとは、情けない。
悪い事をしたら、謝るって教えるのが教育では? 

これを受け、一部の遺族が2月2日にも損害賠償を求めて県などを提訴する方針を固めた。
遺族側によると、24日の協議では、調停委員が遺族側の提案した和解案に対する県側の回答を再度求めた。県側は「結論は変わらない」と応じなかった。

民事調停は20年3月、事故で亡くなった8人のうち6人の遺族が申し立てた。遺族側は、事故発生の責任を明確に求めた上での真摯(しんし)な謝罪を求めてきた。側は県としての賠償責任を認めたが、「引率した教員個人の責任ではない」と主張。遺族側が求めた3教諭の出席もなかった。
県は賠償責任を認めているが、金だけで解決する考え? 教員個人の責任ではないとは、誰の責任だと考えてるのか?  金をヤルから黙れでは、近畿財務局の赤木事件と同じ匂いがする。
協議後、遺族側の代理人弁護団は報道陣の取材に対して「事故は人災以外の何物でもない。県は(遺族側の)申立書の主張に対して認否もせず不誠実な対応を繰り返した」と強調。調停を申し立てた6組の遺族のうち5組は、民事訴訟の場で謝罪などを求める考えだ。
民事よりも刑事だが、既に県警が送検したのに、検察は何をモタモタしてるのか・・・

1月23日
この冬は、異常に雪が降る・・・ Xmas寒波の時⇒ 

1月14日の画像
車庫の軒から迫り出した雪。寒さが続くので、一気にズリ落ちれない・・・
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風下に雪庇が出来て・・・これも落ちれずに居る・・・下に居て、落ちたら首が折れる。
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家の前は、ガラス窓の半分まで・・・
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1月18日の画像
車庫の雪庇は、相変わらず落ちそうも無い・・・
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塊の雪が落ちたら・・・窓ガラスが割れる恐れが有るので、コンパネ板を立て掛ける。
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車庫のシャッター前、間もなく背丈に・・・
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この日は晴れ模様なので、母屋1Fの雪を降ろす。
6~70cmの締り雪、鉄骨造なので積雪荷重には耐えれるのだが・・・平屋根で楽だ。
車庫兼物置の雪庇と土蔵の屋根・・・登れ無いし・落とすにも危な過ぎる・・・
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この冬は県内で、雪降ろし事故が50件を越えた・・・半数以上が骨折等の重症。
落雪に埋まって死んだ方も・・・屋根の下は要注意だ・・・

1月23日の画像
母屋2Fの北側に出来た雪庇。落ちると真下に有る、ボイラー収納のプレハブが潰れる・・・
何年も、こんな心配は無かったのだが・・・
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今日は暖かかったので、車庫内でボイラーの屋根用にガードを造る。
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手持ちの垂木と野地板を使って、プレハブに被せる様に・・・本体95×92・煙突出30cm。
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これで、直撃は交わせるだろうが・・・果たして、強度が保てるか???
ボイラーの排気熱か? 此処だけ異常に雪が少ない・・・
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車庫と土蔵の繋ぎに2m位も溜まってる・・・近いうちに降ろさなくては・・・
2022_01230005 パノラマ写真
この冬は隣近所で、雪の捨場が無くて大騒ぎだ・・・幸い我が家は、何とでも為るが・・・
約80坪の家庭菜園(平たく言えは畑だが・・)に、雪捨てをさせてたが、
この冬からのお断りを、
夏に文書で伝えてた。雪が消えると・・・砂利がバケツ半分も。
春先に、拾うのが一苦労だ・・・俺の代も間も無く終わる・・・既得権に為らない様にだ。
娘も息子も当地には居ないし、誰が継ぐか? 判らないが、将来に禍根を残さない為に。

1月22日
この冬は降雪量が多く、Xmas寒波以降、雪が降らない日は数日のみ。
お陰で腕・腰が・・・昨日は、寒中なのに青空が広がったが、時間的に山にも行けず・・・
今日は、晴れ・曇りマーク、決行です。

行き先は60キロ先の森吉山、樹氷が見頃な筈です。
スキー場に登山届を出すと、7番の受付。既に7組が先行してるのか・・・楽出来そうです。
ゴンドラに乗り込み、
ブナ林の雪化粧を眺めながら、上駅に・・・。
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小雪混じりのガスガスで、視界不良だが、風も寒さも気に為らず。
樹氷平まで登り、管理区域外に出る。視界は2~30m。樹氷は其れ為りに出来てた。
スノーシュー跡が着いてるが、スキーで踏めば膝深、凹凸が多い尾根の夏道を進んでる。
樹氷帯を避けて、尾根の右下を巻けば、楽なのにと思ったが、シュー跡を壊しながら進む。
視界が悪いので、持参の標識旗を立て、振り向いて旗の離れを確認しながら登る。
スノーシューの女子に追い付いた、この天気に良く登ってる。聞くと冬は10回位来てると。

スノーシューの2人組が降りて来た・・・雪が深くて戻って来たと・・・
先にスキーで登ってる男子1人が見え隠れ。
右に雪庇が有る処に来たが視界が悪く、5m程離れた左側の処を登る。

1308m石森Pに着いたが、視界最悪で何も見えず。
スキー男子もシュー女子も、ここから帰ると言う・・・この先トレース跡が無い。
登山届けが7番目、途中で戻った2人と此処に居る2人、何か員数が合わない・・・

石森Pからのラッセル中に、2回程フラ付く・・・
1回目は、立ち止まってるのに、板が流れる様な感じ。表層雪崩に会った様な・・・
2回目は、目眩がして立って居られない感じ・・・一瞬中風(脳卒中)かと。
これがホワイトアウト酔いの症状かも・・・長い山歴で、初めて体験でした・・・

この天気では、無理して1454mの山頂まで行く意味が無い・・・
石森Pの東南約600mに、阿仁避難小屋が有る。そこで昼飯を喰って、戻る事にする。
広い尾根で帰路を考え、標識旗を目視出来る、20m位の間隔で立てながら進む。
ここは、少し風が吹くとトレースが消える場所。
スキーは、膝から太腿まで埋まり、向きを変えるのも一苦労だ・・・

300m位進んで中間点辺りに来ると、後ろからツァーの一団が追い付いて来た。
先頭は、ガイドでスキーを履き、ボードを背負ったシュー女子が5.6人続く・・・
ガイドは無言だったが、女子の何人かは、標識旗とラッセルの礼を言う。
その後ろからも、別の一団が・・・オバハンが「山岳会の方ですか?」と聞く、
「否」「旗を立ててるので・・」「八幡平は立ててくれてる」と・・・
「お前の為で無い、俺の為だ!」と言いたかったが我慢の子・・・
更に「小屋は何処ですか?」と聞く、「この斜面を登れば直ぐに有る」「もう直ぐだって!」
最近は、こんなトボケタ奴等が多い。
こんな奴等の為にラッセルするのは、馬鹿馬鹿しい・・・横に寄って一団を先行させる。

集団の後ろに着いて、ラッセルから解放されたが・・・
先頭のガイドが暫し立ち止まり、盛んに磁石か? GPSを確認してる様子。
視界は無いが・・・樹氷の無さから、俺的には小屋から、右(南)にズレてる感じがする。
隊列から離れて左(北)気味に登ると、目の前に2F建て避難小屋の屋根だけが出てる。

冬季出入り口の2Fの窓は、吹き溜まりで埋まってた。約2m掘らないと入れない・・・
スコップで、ここ掘れワンワン中、一団が雪原を半周して小屋脇に来て、
2Fの窓が埋まってるのを見ると、視界無しだが山頂に向かう様子。
この天気でも、一発で小屋に辿り着けないナンチャッテガイドが、山頂目指して大丈夫?
帰りに寄って、昼飯を喰う積りだろうか・・・

窓の位置を掘ると・・・冬戸が有る筈だが、直接ガラス窓が現れる・・・
冬戸を閉めないで、帰った奴が居るのだ・・・
去年の2月も掘ると、冬戸は外れて落ちてるし、2重窓の外側が割られてた・・・
冬戸は雪を払えば、スライドするのだが、無理に煽って開け、スコップで割ったのだ。
帰ってから市役所の知人に、ガラスの件を知らせた事が有る。

1m程掘ったが、風も無く・寒くも無い・・・
後1m掘るのを止め、雪に段を造って座る。こんな時は自作の熊尻皮が絶対だ・・・
テルモス珈琲とチョコ・甘納豆で一服。
今日は、ディナPDG800gにTLT370gの板で来たが、軽くて動き易い。
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腹も空いて無いので、昼飯はカット・・・視界が悪いので降りる事にする。
次の旗が辛うじて見える・・・この辺は25歩毎に、立てて来たのに・・・
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太陽の方向に樹氷が見える・・・
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標識旗を回収しながら・・・
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石森Pを過ぎると、2人組が登って来る。今頃?  格好を見ると、とても・とてもだ・・・
旗を回収されると帰りが困ると言う・・・関係の無い事だ!  自力で登れる様に成れ!
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標高が下がると、少し見通しが良く為る。
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スキー場管理域内の、樹氷平が目前。
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樹氷見物用のルートを滑り降りてると、80~100Lの巨大ザックを背負った一団が登って来る。先頭が女、
尻皮を見て「熊ダ~」と。泊まりだろうが、1泊では荷がデカ過ぎる・・・

ゴンドラ上駅に戻り、兼用靴のバックルを締めて、スキー場内の滑走・・・
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ブナ林の雪化粧が綺麗だ・・・
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スキー場に下山届け、車に戻り下山メールを送る。
久し振りに、冬山気分を味わえた、いい1日だった・・・

1月10日
Xmas以降連日の降雪が続き、除雪しなくても良い日が、3日のみ・・・
上腕・肩・腰が、お疲れモードだったが、予報では今日が珍しく曇り/晴れ。
曇り/晴れマークが付くのは、何日振りか・・・

八幡平・森吉山の選択肢が有ったが、迷わず八甲田に決定。
高速で弘前に入ると・・・平地には日差しが当たってるが、岩木山も八甲田も雪雲の中。
黒石からの山道は、例年並に雪が多いが、ロータリーで垂直に除雪されてて快適。

右・酸ヶ湯 左・ロープの分岐手前で少し悩んだ・・・
この天気では、稜線には立てない・・・酸ヶ湯から、仙人岱の避難小屋を目指すか?
ロープ上駅から田茂萢湿原を横切り、寒水沢源頭に滑り込み、カモシカを降りるか?
滑り甲斐の有る、カモシカに決める。

祭日で人出が多いのに、コロナで満員稼働せず、延々とロープ待ち・・・
乗り込んで直ぐに雪雲の中に・・・視界ほぼ無し・・・
10分で上駅に付くと、西風13m・-10°の表示で吹雪。
とても、
田茂萢湿原を横断する天気では無し・・・

目印のポールが立ってる、ダイレクトコース3.5kmを滑って降りる事に・・・
視界が悪く、次のポールを探しなから、慎重に。
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連日荒れてるので、樹氷は育ってるが・・・足元の凹凸が見えづらい・・・

樹氷帯を過ぎて、樹林帯に入ると雪雲から脱して、周囲が見える様に為り、青空も。
ブナ林の中を好きに滑れる、新雪深雪用にセンター105の板で来て正解でした。

帰路、久し振りに大河原温泉に入る・・・昼で誰も居ないので、大量の水で薄めて・・・
黒石に来たら、岩木山がドーン見えたが、八甲田は相変わらず雪雲の中。
家が近く為ると・・・八幡平も森吉山も良く見えだ・・・行き先の選択ミスでした~

明日から、また天気が崩れる・・・雪寄せの日々が続く、土曜日が辛うじて“曇り”だ。
毎年の事だが、2月の中旬に為らないと、天気が安定しない・・・

の続き

第48報で、>やれる限りやってきましたが南極点に到達するのは極めて困難です。と言ったが、この先の14日間で何処まで進めるか? (冒険期間が60日として)

ここで、一つの疑問が湧く・・・それは、冒険期間(日数)の設定。
ALE社(南極冒険者のサポート会社)と、どんな契約をしたのか?
スタート地点に“降ろして”、何日後かに極点で“回収”、これが主な事柄なはず。
当初計画より日程が遅れるとしても、毎日交信してる関係、迎えの飛行日を変更したら?
経費増には為らないはず・・・(多少極点行きよりは、飛行距離が長いとしても)
期間が伸びて、喰い物他が少なく可能性は有るが、本人が喰う量を調整して凌げば済む。
BCから本土への飛行日だとしても、次便とかに変更出来ないのか・・・

残り、極点まで548km。限られた日数で、何処まで近付けるか?
これから登るクイーンモード山脈は、110年前にアムンゼンが探し当てたルート。
アムンゼンは、山脈中の氷河に進路を求めて、3日掛けて56kmの氷河を登り切ったと言う。
氷河を抜けた地点は、南緯85.36°・標高3200m。アクセル・ハイバーグ氷河と命名。

彼は、橇を犬に曳かせて3日で抜けたが、人が100kg超えの橇を曳いて1日何km進めるか?
クレバス帯を迂回しながらの登りだ・・・



行動記録【第51報⇒第60報

黒字は、事務局に送った内容。赤字は、小生が強調した部分。青字は、小生の思い。**********************************************************************

2022年1月4日7:06(日本時間)/第51報

1/3 47日目 距離23km 高度126m
山脈へと近付き明らかな緩い登り下りを繰り返し、取り付きへ。ここまで723km。実に長く辛かった。艱難辛苦は前回の南極と比にならない程。ただ、また問題が。昨日ベースキャンプとの交信で山脈越えの事を話したが、オレのいる場所が遠隔の為、ベースキャンプの撤収の日程まで間に合うかどうか、という問題。山脈を越えないと飛行機が着陸可能な場所がない。オーナー達が相談して最終決断をするらしい。南極では飛べないときは1週間も待つ事も。「山脈越えだけはしたい」と電話で頼み込むが特殊な地である為、オレが決断できる訳ではない。上ずりそうな声を抑え冷静に話す。ピックアップの可能性もある。ここの取り付きなら着陸可能だからだ。最終決断は次の交信の時に下されるだろう。行けるのか、それとも。

前述の、疑問の一部が解消。
>ベースキャンプの撤収の日程まで間に合うかどうか、という問題。
ALE社(南極冒険者のサポート会社)の南極に在るBCは、ハイシーズンのみの営業らしい。
施設は兎も角、要員も飛行機も本土へ撤収するのか・・・
送迎用飛行機チャーター代が、6000万円と言うのも強気だ。

>山脈を越えないと飛行機が着陸可能な場所がない。
>ここの取り付きなら着陸可能だからだ。
飛行機が降りれる場所は、この2箇所より無いのだ・・・予想した通りだ・・・
明日の交信結果は如何に・・・
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南緯85°のライン(
空色)は越えた。これから、ア
クセル・ハイバーグ氷河に入る寸前。
何とか為らないものか・・・
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2022年1月5日10:15(日本時間)/第52報

1/4 48日目 距離20km 高度356m
眼前に広がる山脈。英語で言うMassiveがまさにピッタリ。明らかに標高が高くなるのを筋肉の疲労から感じる。山脈越えに挑戦できる。ただし要所でのタイムリミットがある。達せなかった場合は取り付きまで降りてくるのが条件。クレバスがあるので視界良好でないと行動不能。運にも左右される。飛行機を飛ばす会社の皆さまのご理解に感謝。シーズン終了間際で予期しにくい場所での行動は彼らにとってもリスクなのだから。挑戦できると聞いて、ガッツポーズ。背筋が凍り血が沸く。それがやりがいかも。冒険家ってのは因果な家業だ。

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>山脈越えに挑戦できる。ただし要所でのタイムリミットがある。達せなかった場合は取り付きまで降りてくるのが条件。
厳しい条件だが、昨日の位置から、20km進んで標高差で230mも稼いてる。
確か、
クセル・ハイバーグ氷河の入り口が、標高5百何十mだったと記憶してる。
明日には、入り口に着けるか・・・入り口から56km登れば、3200mの氷床台地に着ける。
氷河を、何日で抜けれるか? が、勝負だ。
血判状を記して挑んた君だ、極点が無理なら、せめて3200mの
氷床台地の上に立て!
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2022年1月6日6:12(日本時間)/第53報

1/5 49日目 距離12km 高度526m

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曇り気味のなか出発。緩やかに登る。雪が柔らかく軽くなったソリでも牽引にパワーがいる。12時間行動が通常だが8時間行動で曇りで雪面が見えなくなり行動終了。ヒドゥンクレバスも確実に見えるコンストラストでなければ、ここでは歩くべきじゃない。
アムンゼンも雪が柔く、クレバスの迂回が多いと言ってるが、見る限りそんな気配は・・・
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高度526m、170m登った。残り標高差2674m。
アムンゼンは、犬45頭で4台の橇を曳き、3日で登ったと言うが、人力で
何日で登れるか? 
人力車夫としての、本領発揮の時だ!!!
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2022年1月7日9:16(日本時間)/第54報

1/6 50日目 距離9km 高度759m

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寝てる間にガッツリ降雪。南緯85度を越えしこんなに降るとは。朝のテント撤収がひと仕事。お陰で軽くなったはずのソリが重い重い。スタート時並に重い。今日はドローンを飛ばして撮影。極めて好条件でないと飛ばせない。もう出発して50日間、実は遠征中は孤独を一切感じない。動物占いがヒツジなのに笑。この世界ではむしろ皆を身近に感じる。精神の世界に近い場所にいるから。都会の方がずっと孤独なものだ。
ドローン撮影? そんな余裕が有るのか、9kmより歩けて無い。今は、何が最優先だ? 
降雪で、クレバスが隠れてるから、注意だぞ!!!

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高度759m、233mも登った!!! 氷床台地まで、残り2441mだ。曳け・曳け・曳け!!!
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秋田魁新報 1月7日掲載web記事より
部さんは昨年11月19日、日本人初の南極探検家・白瀬矗(のぶ)(にかほ市金浦出身)の最終到達地点である大和雪原(ゆきはら)を出発。今月17日までに約1300キロを歩いて南極点に到達する目標だった。
南極へのフライトが予定より遅れるなど、不運も重なって今月1日までに行程の半分過ぎまでしかたどり着けず、南極点到達は断念。眼前に迫った南極断山脈越えに挑むとしていた。
期限である17日には、南極専門の航空会社が南極のベースキャンプを撤収し、阿部さんを乗せる帰りの航空機が飛ぶ。この日までに南極に到達できない場合は、阿部さんがいる地点まで航空機が迎えに来ることになっていた。
しかし、山脈を登り始めると、山を越えるまで航空機が着陸できる場所がない。このため航空会社は、山越えの要所に時間制限を設け、間に合わない場合はその時点で登り口まで戻らなければならないという条件付きで山脈越えの挑戦を許した。
記事を読んで、唖然!!! 
>月17日までに約1300キロを歩いて南極点に到達する目標だった。
これまで、何処にも、17日が期限との書き込みが無い。地元紙にだけ発表?
第48報で、やれる限りやってきましたが南極点に到達するのは極めて困難です。
と、初めて言う。白瀬ルートから、アムンゼンルートに変えた時から、
無理な事が判ってたのでは? 1日当たり平均22km進まないと駄目な事を・・・

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2022年1月8日8:23(日本時間)/第55報

1/7 51日目 距離7km 高度913m
雪と登りで一気にペースが落ちている。登りよりも雪の柔らかさに苦しめられる。9時間歩いてわずかこの距離。天気は悪くない。視界が悪いと歩けないのだから文句は言えない。前に前に、南に南に、進むのみ。

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9時間で、7kmより進めない。154m登って標高913m。残り2287m。
この先1日当たり200m登れても、残り10日で、3200mの氷床台地に到達は不可能。
何日の時点で引き返すのか? 
極点に達せず
瑣末な話だが、何としても
「単独で海側から、橇を曳いて南極横断山脈を越えたのは、俺が初だ」と、言いたいのなら、不要な荷を捨て、身軽にして進め!(知る限りでは、橇を曳いて、南極横断山脈を越えた者は既に居る。極点から単独で同ルートを越えたのは1人、同南極道路経由が2人。スコット基地から自転車・バイクで南極道路経由で極点到達者2人?)
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2022年1月9日6:53(日本時間)/第56報

1/7(1/8の間違い) 52日目 停滞日

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22日目以来の休息とした。起きると分厚い曇りが辺りを覆っていてテントの周辺だけ晴れ。この雲が太陽にかかるとこの地域は歩かない方が良い。そう決めたものの1時間事に外を見る。結局、ほぼ曇らず。歩けば良かったかな、との思いになるが選択しなかった未来など誰か分かるだろう。休む時は休むべきだ。夢ばかり追いかけてきたせいか、生きるのが下手だなぁ、とよく思うが、だからここまで来れたのかも、とも。
時間制限間近の、此処に来て停滞するとは・・・南極山脈の上の台地は遥か彼方だ!
これを越えて、“漢”に為りたかったのでは?  ヤル気が失せたか・・・
事故ル前に敗退宣言をして、救援して貰った方が、後が有るぞ。 

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2022年1月10日9:33(日本時間)/第57報

1/9 53日目 距離9km 高度1,027m

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ほぼ眠れなかった。昨夜、ベースキャンプとの交信で再び続行か撤退か、の話になり、これから天気が荒れるのでかクレバス帯を越えはのが極めて危険であり、また飛行機ピックアップの制限時間にも際どい。改めて最終決定の電話を別日にすると言うことだ。規模が大きい遠征は精神戦でもある。様々な事が起こる。それを受容するメンタルも必要。クレバスはもう目の前で大きく口を開けている。
休んた翌日でも、9kmより曳けない・・・到達高度(標高)1027m。
救援機が降りれる3200mの氷床台地まで、2000m以上の登りが有る。
1日登って100mより稼げない・・・これでは期限の17日までに、
クセル・ハイバーグ氷河を抜けるのは無理だ。回収時の天候不良を考えて、2.3日中に下りる決断をせよ。
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2022年1月11日7:56(日本時間)/第58報

1/10 54日目 停滞日 

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分厚い雲が空を覆い光の乱反射で地形が見えない。前と違いここではこの天気では危険過ぎて行動不能。ベースキャンプとも相談し、「現状では南極横断山脈は極めて難しい」との双方の判断。ピックアップのタイムリミットもあるが、これから天気が荒れ数日間の停滞を余儀なくされるだろう事も考慮して。これから天気が回復次第、プロペラ機が着率可能な平らな雪原がある場所まで約50km下山する。外は南緯85度を超えているというのに雪が降っている。前回も今回も天気と雪に悩まされる。ベースキャンプに戻るまで一週間近くかかるだろう。最後まで気は抜けない。土壇場では自分は極端にドライな感情になる。だから泣いたりはしない。が、応援して下さるあなたの気持ちにどれだけ応えられたか、それに胸が痛む。
一つの冒険が呆気なく終わった・・・心中幾許か・・・
南極横断山脈の中の、クイーンモード山脈に有る、クセル・ハイバーグ氷河の標高1027mが、今回の冒険の最終到達点。極点まで直線で約506kmの地点。
座標は、南緯85.442444° 西経165.840147°。
総踏破距離は、780.7km。
以上が結果だ・・・
救援機が降りる地点までの、50kmの下山中は気を抜く事なく、安全に・・・
アムンゼンは、この氷河の下りが、橇が先行し困難だったと述べている。

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秋田魁新報 1月3日掲載web記事より抜粋

今回の冒険では、南米チリから南極へのフライトが天候などの影響で予定より5日遅れたほか、出発前の調査でクレバスを迂回(うかい)するため行程が100キロ以上増えた。出発後も大和雪原(ゆきはら)周辺の雪が乾燥していてそりが滑らずペースが伸びなかった。こうした悪条件が大きく響いた。
と、書かれているが・・・
南極到着が5日遅い
⇒5日前に着いても、進めた距離は約110km。(1日22km換算)
100km以上迂回⇒約10日間の迂回が無かったとしても、進めた距離は約200~250km。
計約360kmを加えても、極点は約140km先。
1日22km換算で7日相当
要は、
冒険期間と1日当たりの歩行距離の設定に、問題(無理)が有ったのでは? 
いづれ本人から、説明が有ると思うが・・・

橇が滑らず⇒平底に近い橇は、雪面抵抗が多く、軟雪には弱い。
’18年日本人初の、南極点無補給単独到達者、荻田泰永氏が使った橇↓は、
8kg弱だったと言う。信じられない軽さだ・・・しかも、卵型に見える・・・
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今回使ったこの平橇↓は、何kgだったのか? 興味が沸く・・・
何かの記事で読んた記憶では、赤のカバー付きで12kgだったと・・・この差は?
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こんな橇↓だったなら、
雪面抵抗が少なく、曳き易いのではと思ったりも・・・
スキー板と架台の重さが加わるが、荷台の造りで、軽量化が図れるのでは?
若干重心が上に為るが、工夫次第で何とでも為るだろう・・・
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2022年1月13日10:53(日本時間)/第59報
以下事務局から)南極の現地時間で昨日(1月12日)発信されました阿部雅龍からのメッセージを受け取りました。天候悪化で2日間テント内で停滞をしていたようです。これからクレバスゾーンを抜け、4日ほどで現地サポートチームと決定したピックアップポイントに達する予定です。阿部雅龍の健康状態に問題はありません。
give upした地点での画像。
こんな処で、白瀬南極探検隊の旗など立てるなよ!  極点に立てる筈だったろうに・・・

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今回の最終到達点。
クセル・ハイバーグ氷河標高1027m。極点まで直線で約506kmの地点。
座標は、南緯85.442444° 西経165.840147°。総踏破距離は、780.7km。

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2022年1月16日19:00(日本時間)/第60報
(以下事務局から)現地サポートチームと合流後、南極点の基地に到着した阿部雅龍から衛星電話での定期連絡がありました。心身ともに健康であることを取り急ぎご報告させていただきます。今後、最短の好天日を待ち、チリへ渡航後、各国のルールに従った入国手順を経て、日本へ帰国いたします。
救援機で、極点基地に収容された様です。
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第60報で、行動記録を終わります。

に続く

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