手持ちのピッケル紹介

①アンデンマッテン(スイス) 950g 77cm
このピッケルは、今は無き四谷の【山友社 たかはし】が、
見本として取り寄せた中の一本。
ピックからブレードまで32cmの大振りで、
小柄な日本人には向かないと輸入しなかったらしい、
なので日本に有るのはこれ一本限り。
店の飾りにしてたものを、拝み倒して入手。
山嶽部時代何度か使ったが、矢張り扱い辛かった。
特徴
木部は、希少なヒッコリー使用。
鋭いピックと極端に湾曲したブレード・菱型のスピッツェ。
ピック裏に、地元のミシャベル連峰の彫り物。
堅雪への刺さりとカッティングは抜群です。
②森谷(秋田) 950g 73cm 製造番号は N4458
高3の時に森谷製作所に依頼し造って貰ったもの。
炭素鋼(S)とニッケル・クローム鋼(N)が有り、
粘りの有るN鋼での製作依頼。
穴無しが6000円・穴有りが7000円、
当時月1000円の小遣いだったので穴無し選択。
山嶽部時代はこれ中心に使用、シャフト交換時に10cm詰めて貰う。
初ヒマラヤ登山で、ポカルデ峰(5806m)・イムジャツエ峰(6189m)登頂時に帯同。
③ウイリッシュ(スイス) 700g 45cm
2代目ローマン・ウイリッシュ作の名品。
鋼材は軟らかい、ピックをリスに刺し体重を掛けると撓る。
85cmだったのを、森谷で45cmに詰めて貰う。
当時、新規に短いものを買う余裕が無かった・・・
④アイガー・スーパー(東京HOPE) 950g 75cm
今は無きホープ社晩期の製品。
木製シャフトのアイガーの後に、
ピック角度をより鋭角に、ブレードカップを大きく、
ハーネス・シュピッツェを一体に。
鋼材は、ニッケル・クローム・モリブデンを使用。(当時としては、最高の鋼材)
シャフトも、高力アルミ合金管1.2mmにアルマイト処理し、
更にエポキシ系FRP加工。
日本の精鋭がアルプス3大北壁を目指した頃のもの。
⑤シモン・カマロ(フランス) 800g 62cm
3代目ロジャー・シモン作
手作りの鍛造での製作を止め量産が出来る鋳造に。
これは、ピッケルだった物を鍛冶屋に頼みブレードをカットし、
鋼を溶接してアイスバイルに改造したもの。
1500円で・・バイルを買う金が無かっただけ。
昔のアイスハーケンは、スクリュウ式でないので、
これで充分叩けた・・・

⑥アルピレッド ルネ・ドメゾン モデル(フランス) 700g 60cm
名クライマーのルネ・ドメゾンがプロデュースした逸品。
シャフトは、超ジュラルミン製で、超音速機コンコルドの骨材を使用。
シュピッッエとハーネスの段差が無く、
刺さり最高、振ったバランスも良い。
⑦マウンテン・テクノロジー(スコットランド) 750g 75cm
山好きなロールスルイス社の技術者が造ったもの。
当時、ロールスルイスのピッケルと話題になった・・・
ピックにイギリスと打たず、敢えてスコットランドと表記したのは、気骨か・・・
バランスが良く、扱い易い。
⑧カンプ・アイスバイル(イタリア) 780g 55cm
カンプ社とインターアルプ社が合併した頃の作で、両社の刻印がある。
⑨⑩エイリアン(イギリス) 共に750g 50cm
DMM社製のアックスとバイル。
ピックはノーマルではなく、
氷に刺さった時に安定するバナナピックを採用。
シュピッツェも刺すことよりも、雪面で安定させる方式。
このスタイルのアックスは後に、ベントシャフトへと進化する。
⑪カンプ・ALPAX 570g 57cm
急斜面にピックを刺して登る時に、
シャフトが曲がってる処を握ると雪面に着かず具合が良い。
12本アイゼンとの併用で、カッティングの要素が無い為、
ブレードは最少限。
ベントシャフトの為、滑落停止には向かない・・・
バランス良く、非常に使い易いアックス。
2回目のヒマラヤで、メラ峰(6654m)登頂時に帯同、しかし長大なメラ氷河を登るには、
マウンテンテクノロジーのピッケルが良かったかも・・・
ピッケルの選び方
目的の山の斜度に合うものを選択する。
長さについて
急斜面が多い山ほど、シャフトが短いものを・・・長いと登行時に刺し難い。
緩斜面が多い山は、
長いもの(立ち位置でシュピッッエの先が地面から10~15cmの長さ)が、扱い易い。
重さについて
最近軽量のものを進める店があるらしい・・・全国ネットだが知識不足・・・
軽いものは、
氷化した雪面での足場カッティングの際、弾かれて使い物に為らない・・・
かえって疲れる・・・700~800gの確りしたものを選ぶべき。
かえって疲れる・・・700~800gの確りしたものを選ぶべき。
バランスについて
シャフトを握り、体の前で肘を軸に左右に振って診る。
1時間でも振ってられるなぁ~ と思えるものが貴方にベストマッチ。
但し、重さは先に述べた通りのもの・・・
★使用については、滑落停止が確実に出来ること。
滑落停止技術が無くて滑落した場合、ピッケルバンド着用してるとピッケルが暴れ、
ピックが腹に刺さり死亡例多し。
ヨーロッパ式にバンドを使用しない方が、ある意味安全かも・・・
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