2017年3月27日
悲しい春山(3月なので春山の区分)での、大量遭難事故が起った・・・
悲しい春山(3月なので春山の区分)での、大量遭難事故が起った・・・
報道に拠ると、県高体連主催の講習会で加盟7校から、生徒51人教員11人が参加。
ラッセル訓練中に雪崩に遭遇したとか・・・
生徒33人・教員7人の48人が負傷し、うち生徒7人・教員1人が圧死・窒息死。
この日は悪天候で、引率していた県高体連・登山部の猪瀬委員長の判断で、
茶臼岳登山を中止にし、ラッセル訓練に変更した。
この委員長は山暦20年以上で、指導員の資格が有ったらしいが・・・
雪崩は、第一班がラッセル訓練中に起きた。
1300m付近から100mから200mに渡り滑り落ちた、表層雪崩らしい。
スポーツ庁は、原則・高校生の冬山登山を自粛するように通達を出していたが、
これにより3月27日付けで、高校生に冬山登山をさせないよう通達を変更した。
実質禁止の様だが、如何にも役所的発想、文部省なら判る気もするが・・・
スポーツ庁は、何の為有るの? スポーツ振興の為ではないのか?
生徒がどうすれば安全に山が登れるかを、考えるのが仕事だろうに・・・
栃木県高体連の会長は、この事をマスコミに聞かれ、3月は冬山で無いと発言。
屁理屈をコクな !
確かに山の世界では、2月で冬山区分が終わり、3月から春山なのは違いないが、
確かに山の世界では、2月で冬山区分が終わり、3月から春山なのは違いないが、
降雪が有り吹雪けば、2月も3月も一緒、冬山も春山も無いのである。
前日の26日から降雪が続き、気象庁では栃木県北部に雪崩・大雪注意報を発令。
那須高原で27日10時に積雪34cmを観測したと言う。
当日難を逃れた生徒談は膝までのラッセル(カンジキかシューを付けてたと思う)、
救助隊談は腰まで(壷足か・・)の深雪だったとか。
いづれにしても、新雪が膝以上に積もってた事は確かだ。
参加62人中、48人が負傷(内8人死亡)した事故は異例である。
疑問は
①26日の気象庁発の雪崩・大雪注意報を、責任者の猪瀬が何と考えたか?
講習会では、天気図作成・判読の仕方などの座学は当然してるはす・・・
早朝の日本短波放送・NHK2(16時)からの〝気象通報〟を録音して、
天気図描きを練習した意味がない・・・
大方、26日の夜は各校の引率教員集めて、宴会でもしてたのだろう・・・
②翌朝登山を中止したのは良しとして、緩斜面で無く・急斜面でのラッセル訓練を、
何故させたか?
③前日は気温が高く、積雪面の融雪が進んだはす、夜間気温が下がって凍結、
その面に春の湿り雪が積もれば、どうなるか・・・
山暦20年以上の指導員が、それを予測出来なかったのか? 笑止である。
④高体連・登山部委員長の猪瀬は、計画立案の経緯・講習会の状況・当日の判断・
捜索完了まで12時間も掛かった経緯に付いて、講習会開催責任者として、
隠れてないで説明をすべきである。
疑問点の多い、責任者の判断ミスに因る、雪崩遭難事故です。
県警では責任者の猪瀬を、業務上過失致死傷容疑での送検の話も出てるが、
雪崩れるとは思わなかった・・で無罪放免・学校の責任も無し・・・
亡くなった生徒が浮かばれないし・・・親の無念は幾許か・・・
********************
この事故で思い出すのが・・・・
1964年(昭和39年)に有った、秋田県立大館鳳鳴(ほうめい)高校の、
岩木山遭難事故です。
山岳部員6人で岩木山合宿をし、キャンプから5名が山頂に向かい悪天で遭難。
戻らないので、キャンプキーパーが救助依頼・・・
1名は自力で民家まで降り救助されたが、4人はバラバラで疲労凍死でした・・・
5人は吹雪きで視界を失い、別方向に降りたのです。
延べ8日・2000人以上で捜索したとか・・・
この時、小生は高校生で山岳部が無く、創部しようとしてた矢先・・・
この件で、お流れと為りましたが・・・
後に、大館に住むようになり、地元の社会人山岳会に入って、
この時のキャンプキーパーと遭いました。
無雪期の山には登るものの、雪山には行こうとしない彼、不思議に思い・・・
聞けば、10年振りに山を始めたとの事・・・
岩木山の時は、カンジキを忘れて行ったので、アタックせずにテントに居たと・・・
カンジキを持ってれば、俺も死んでたと・・・
自力下山した1人は、色々言われ地元に居られず、卒業後沖縄に行ったとか・・・
彼も何度か自殺を考えたとか・・・家業と長男だった事が踏み留まらせたそうです。
遭難が有れば生き残った者も、其れなりの重荷を背負う事になるのです・・・
********************
山の事故の殆んどは、原因は様々(殆んどが人的ミス)だが、
今回の那須の事故は、有る意味団体行動の怖さを現してます・・・
山での遭難事故では、自己責任と言う言葉が有るが、
この事故は、県高体連・登山部の公式行事で有り、
各校教員の判断・生徒個人の判断が通用しない環境下での事。
県高体連の責任者が責められるべき、典型的な雪崩遭難事故です。
亡くなった生徒達のご冥福を祈ると共に、
負傷した生徒達の早い回復を願います。
これに懲りて、山登りを辞める事の無いように・・・・
追記
昼のテレビに、自称アルピニストの野口健が出演。
ビーコンが有れば等と、ゴチャゴチャ言ってたが・・・・
高価な〝三種の神器(ビーコン・ゾンデ・スコップ)〟を、
山登り入門の高校生が持てるはずも無く、仮に持ってても、
62人中48人が行方不明・負傷では、現場で混信して何の役にも立たないのだ・・・
ビーコンが役立つのは、雪崩に埋まって5分~10分、
直ぐに掘り出さないと窒息・圧死・・・
この状況では、ビーコンの有無は意味なし。
三種の神器とは、
ビーコン 7万~3万円 高いほど性能は良いが、使い方を熟知しないと意味なし。
ゾンデ棒 1万円程度
スコップ 5千円程度
小生はスコップ以外の〝2種の神器〟を持ち歩かない。(スコップは雪洞堀の為)
理由は
①ビーコンは、埋没者を探す物。ゾンデ棒は雪中に刺して埋没者を探す物。
探してる間に起るかも知れない、二次雪崩が怖いのです・・・
②雪崩そうな処には、近付かない・登らない・滑らない、
これが我が身を守る全てです。
29日 追記 報道による新事実
(太字は小生が強調した部分・抜粋して転載しました)
委員長の教職員は山岳部で23年の顧問歴があるという。会見した県高体連の橋本健一会長によると、事故当時、委員長は「現地登山本部」の町内の旅館にいたという。現場は吹雪いてたというが、登山を中止するという判断をしながら、なぜスキー場でラッセルを実施したのか。
責任者が、スキー場下の温泉宿に居たとは・・・(確かに現地には温泉宿数軒有り)
2泊3日で、生徒達には雪中でテント泊をさせ、委員長は温泉泊とは立派です。
栃木県那須町で起きた雪崩で県立高校生ら8人が死亡した事故で、県と県教育委員会は28日、生徒が被害に遭った事故現場について、那須温泉ファミリースキー場の敷地外の国有林だったことを明らかにした。雪をかきわけて進むラッセルの訓練に参加した生徒らは、当初の県教委の想定よりも山側へ行進していたことになる。また、現場では事故当時、会話できないほどの吹雪に見舞われていたことも訓練に参加した生徒の証言で分かった。
当初発表のスキー場内では無かったし、猛烈な吹雪だった事も判明。
現場の教職員は悪天候のため登山の実技講習を中止しながら、なぜ、歩行訓練を実施したのか。今回の「春山登山」の講習会を主催した県高校体育連盟も詳細を把握しておらず、中止から訓練開始までの2時間の判断が適切だったのかが焦点となる。
講習会の実施要項では「荒天でない限り」は登山をすることが記されているが、悪天候の場合に何を実施するか書かれておらず現場で決めたとみられる。
県教委によると、高校生らは深い雪をかき分けて進むラッセル訓練中だった。
県内の高校山岳部の男女40人と教員8人が参加。
27日午前8時に那須温泉ファミリースキー場のふもとを出発し、
学校別に5班に分かれてゲレンデ脇の樹林帯の斜面を登り始めた。
班ごとに別々のルートで1列に進み、
先頭の1班には、前後の教員2人の間に県立大田原高校の男子生徒12人がいた。
右後方から2班(真岡高、宇都宮高)が続き、
さらに左後方から3班(矢板東高、那須清峰高)、
4班(矢板中央高、宇都宮高)が登り始めた。
女子だけの5班(真岡女子高、矢板東高)は斜面の下の方で待っていた。
1班が登り始めて30分ほど進んだころに雪崩に襲われた。
後続の班にいた別の高校の男子生徒は「強い風が上から吹いてきたと思って身をかがめた瞬間、雪崩にのまれていた」と証言した。
雪が全身に覆いかぶさり、一気に40~50メートルほど流されたという。
胸まで埋まったが、自力で脱出した。樹木にぶつかるなどしてけがした生徒もいたという。
学校別に5班で別々のルートで登った・・・訓練だからでしょうか?
普通では考えられない登り方で、雪の斜面に4本の筋を付けた事が、範囲を拡げたか?
雪崩はスキー場内まで流れて、女子班も巻き込み止まってます。
雪崩に直接当たらなくても、流れる雪崩の爆風で人は簡単に飛ばされます。
次々と、高体連・登山部 委員長猪瀬の、
計画の杜撰さが明るみに出ています。
では、雪崩対策はどうするのか?・・・
雪崩そうな斜面やその下には、立ち入らない事で事故は防げます。
場所的に見ると
斜面に太い立ち木が林立してる様な処では、雪崩は殆んど起きない。
斜面にブッシュや潅木が生えてる処は、過去に雪崩が発生し立ち木が倒れた場所。
表層雪崩の特徴
表層雪崩は、音も無く流れ降ります。
爆風(ホームで電車が通過する様な風)を感じた途端に、雪煙を上げ流れて来ます。
雪崩対策は・・
登山本では、そんな場所を通過する際には、
何時でもザックを外せるよう、ウエストベルトを開放して置くと書いてますが・・・
そんなに上手くは往かないでしょう。
又、通過には一人づつ歩き・安全が確保された地点で、
次の者が通過せよと書かれてます。これは被害を少なくする意味で有効です。
巻き込まれたら、手足を泳ぐ様にせよとも書かれてますが・・・
浮力を得る為に・底に巻き込まれない為でしょうが、咄嗟の判断で出来るかどうか?
流されてる内はいいが、止まり掛けると上から流れて来る圧で雪が絞まります。
絞まる前に上半身脱出出来れば助かるが(腰まで埋まり掘って貰った経験有り)、
首が出てる程度では、掘り出して貰わない限り胸骨が折れて圧死・・・
雪崩の筋を読み、ザックを捨て横に逃げろとも書かれてますが・・・
ラッセルする雪深で、実際それが瞬時に出来るかは疑問です。
他、色々書かれてはいますが、危険な場所には近付かない事が大事です。
どうしても通過しなければ為らない時は、
一人づつの通過が原則・被害が最小限で済むからです。
春先の全層雪崩やブロック雪崩は、折れた木・土砂を巻き込んで流れて来るので、
ゴーッとジェット機の様な音で判るが、雪崩筋に居ては逃げようが無い・・・
衣服が剥がされた状態で、発見されるのが殆んどです。
全層雪崩やブロック雪崩は、毎年同じ場所で起きるので、
予測し易い部類に入るでしょう。
表層雪崩は、雪庇が落ちた衝撃や、積雪状況により緩斜面でも起きるので、
予測は難しいのです・・・
降雪中・降雪後・日中に発生の確立が高いので、
気温が下がった夜間行動する事も有ります。(小生は実際にそうしてました・・・)
コメント