【那須での高校生雪崩遭難に思う】と題し【Ⅰ】から【Ⅲ】まで私見を述べました。
雪崩事故から一週間が経過して、ほぼ全容が判って来ました。
内容は重複しますが、毎日新聞の記事が時系列で書かれ判り易いので転載します。
栃木県那須町のスキー場付近で県立大田原高山岳部の生徒ら8人がラッセル訓練中に死亡した雪崩事故から、3日で1週間。遺族らは悪天候の中でなぜ訓練が実施されたのか、疑問をぬぐいきれない。関係者の証言を踏まえ、当時の状況を振り返った。【野口麗子、野田樹、高橋隆輔】
先月27日午前6時前。登山講習会の現場責任者、県高校体育連盟登山専門部委員長の猪瀬修一教諭(50)は、現地本部を置いた旅館で天候を確認した。付近には前日から雪崩注意報が出ていた。
委員長の猪瀬は、旅館泊だった。
先月27日午前6時前。登山講習会の現場責任者、県高校体育連盟登山専門部委員長の猪瀬修一教諭(50)は、現地本部を置いた旅館で天候を確認した。付近には前日から雪崩注意報が出ていた。
委員長の猪瀬は、旅館泊だった。
その日は茶臼岳(標高1915メートル)への往復を予定していた。旅館はスキー場の管理事務所から車で2、3分。猪瀬教諭は管理事務所からやや離れた場所で生徒らと共にテントで宿泊していた登山専門部副委員長の男性教諭に電話をかけた。
相対での会話ではなく、携帯電話を通じてである。
副委員長と、もう1人の男性教諭から「雪が降っている。茶臼は無理だろう。ラッセル訓練はできるのでは」と提案されたという猪瀬教諭。二、三十年以上も登山経験があるという3人は「経験則」でラッセル訓練の実施を決めた。
3者共に、現場確認してからの判断では有りません。
しかも、電話での合議です。
29日記者会見した猪瀬教諭は「(ラッセル訓練についての3人の)話はすぐに終わったのか」との記者からの問いかけに「はい」と答えた上で「コースは決めていない」と説明。「絶対安全と思った」と振り返った。議論はなかった。
ラッセル訓練の場所も決めないで、現場任せ、責任者不在です。
午前7時半。管理事務所前に集合した生徒らへラッセル訓練への変更が伝えられた。この時、足首から雪が入らないように身につけるスパッツがなかった生徒5人は訓練への参加を見送った。午前8時、猪瀬教諭は生徒らが訓練に出発したのを見送った後、旅館へと戻った。
午前7時半。管理事務所前に集合した生徒らへラッセル訓練への変更が伝えられた。この時、足首から雪が入らないように身につけるスパッツがなかった生徒5人は訓練への参加を見送った。午前8時、猪瀬教諭は生徒らが訓練に出発したのを見送った後、旅館へと戻った。
スパッツを忘れてた生徒が難を逃れたとは、【Ⅰ】で書いた遭難事故と似てます。
講習会主催の責任者は、帰る仕度をする為に、旅館に戻ったとは・・・
吹雪が強まっていった。先頭の1班は技術の高い大田原高の生徒12人と他校を含む教諭2人の14人。
「2年が前、1年が後ろで隊列を組んでいた。吹雪で会話は通じず、周りは何も見えなかった」。1班の2年生は、雪崩が起きた午前8時半ごろの状況を振り返る。視界の利かない中で、1班の後方、樹林帯の中腹あたりにいた4班の生徒は「雪崩が来るぞ」という叫び声を聞いた。
8時半頃に雪崩が発生したのは、間違いないようです。
雪崩は茶臼岳の9合目、通称「天狗の鼻」付近で起きた。斜面を大小の雪塊が転がり落ち、枝分かれして扇状に広がった。尾根筋にいた1班を襲ったのは本流。2班を襲ったのは派生した流れだ。
表層雪崩は、扇型に広がって流れ時が有るので、2班が巻き込まれたのでしょう・・・
1班の先頭にいた副委員長が掘り出された。救出された1班の2年生は、雪に埋もれたところまでは覚えていたが、その後の記憶はほとんど飛んでいた。
猪瀬教諭は事故後、「尾根筋だから大丈夫と思った」と言った。一方、出発前にみんなでスクランブルエッグを作ったこの2年生は、死亡した大金実さん(17)とテントで過ごし、「『山岳部で登るのもあと3回くらいだね』って話していたんです」と悔やんだ。
午前9時ごろ、管理事務所近くで待機していた5班の教諭は、2班にいた教諭から被害を知らされたという。約15分後、5班の教諭は現地本部のある旅館へ駆け込んだ。教諭らは無線機や携帯電話を持っていたはずだが、なぜ連絡が遅れたのかは不明だ。
11人居た教員がの内、待機してた5班の教員以外は、現場に居たはず・・・
1班で2人が埋まってたとしても、
後の8人の内の誰かが、無線連絡出来なかったのか・・・気が動転?
猪瀬教諭はこのころ、旅館で精算するなどして無線を10分程度車に積んで連絡がつかない状態だったという。県警に110番が入ったのは9時20分ごろ。雪崩発生から約50分が経過していた。
8時半頃に雪崩が発生してから、50分も過ぎてから110番とは・・・
さらに約2時間半後の午前11時50分ごろ、那須山岳救助隊のメンバーが現場に到着した。那須地区消防本部などによると、犠牲者8人が発見されたのは半径10メートルほどの範囲で、深さ約2メートルから発見された人もいた。
県立大田原高の剣道部と山岳部の顧問で、1班の最後尾にいて犠牲になった毛塚優甫教諭(29)の父親は、栃木市内で2日に営まれた通夜の席で「(本格的な)冬山経験ゼロの息子をなんで引率させたのか。なんで吹雪の中でラッセル訓練をやったのか」と怒りをあらわにしたという。
さらに約2時間半後の午前11時50分ごろ、那須山岳救助隊のメンバーが現場に到着した。那須地区消防本部などによると、犠牲者8人が発見されたのは半径10メートルほどの範囲で、深さ約2メートルから発見された人もいた。
県立大田原高の剣道部と山岳部の顧問で、1班の最後尾にいて犠牲になった毛塚優甫教諭(29)の父親は、栃木市内で2日に営まれた通夜の席で「(本格的な)冬山経験ゼロの息子をなんで引率させたのか。なんで吹雪の中でラッセル訓練をやったのか」と怒りをあらわにしたという。
毎日新聞 2017年4月3日 08時00分 (最終更新 4月3日 08時13分)
県高体連、呼吸空間確保法を教えず
訓練場所では表層雪崩を予測する「弱層テスト」も怠る
雪崩注意報が出ていた栃木県那須町の雪山で先月27日、登山安全講習会に参加した県立大田原高山岳部の生徒ら8人がラッセル訓練中に雪崩で死亡した事故で、主催者の県高校体育連盟登山専門部が、雪に埋まった際に呼吸空間を確保する生存法を周知せず、事前に表層雪崩を予測する「弱層テスト」も怠っていたことがわかった。
同校関係者が取材に証言した。雪崩を想定せずに訓練が行われた結果、8人が死亡した疑いがあり、県警は関係者から事情を聴いている。
安全講習会は先月25~27日にあり、県内7校の山岳部員ら生徒51人が参加。27日に予定された茶臼岳登山は中止され、雪をかきわけて進むラッセル訓練に切り替えられ、装備が整っていた46人が参加した。
関係者によると、座学が初日にあり、「山の魅力」をテーマに学んだが、雪崩や巻き込まれた際の対処法の説明はなかった。
雪に埋まると、雪の圧力で短時間のうちに窒息する危険が高まるため、流されている時に浮上を試みるか、口の周りを手で覆うなど呼吸できる空間を作れるかが生存時間を延ばすカギとなる。生徒らは雪崩に対する心構えがないまま訓練に参加したとみられる。
また、雪の斜面では弱層と呼ばれる積雪内のもろい層が表層雪崩を誘発しやすく、数十センチ程度掘って弱層の有無を確かめることが危険回避の有効策とされる。
15分も有れば判る事。
しかし、関係者によると、過去の講習会では弱層テスト後にラッセル訓練をしていたが、今回は事前確認がなかった。県高体連登山専門部委員長で大田原高の猪瀬修一教諭(50)は、事故後の会見で「絶対安全だと思った」としている。
雪崩に直撃された先頭の1班は、大田原高などの教諭2人と1、2年生それぞれ6人の計14人で、うち2年3人と1年4人、登山歴の浅い毛塚優甫教諭(29)の計8人が死亡。半径約10メートルの範囲で見つかった。雪の圧力で窒息死しており、2メートルもの深い場所に埋まっていた生徒もいた。
雪崩を研究している名古屋大大学院の西村浩一教授は「(弱層は)スコップで掘ればすぐに分かる。経験豊富な教諭なら確認したはず」と指摘する。【野口麗子、萩原桂菜、三股智子】
時間が経過するほどに、
〝判断ミス〟〝指導不足〟〝絶対安全〟〝責任者不在〟の、
人的要因が起した遭難事故です。
コメント