9月11日
トムラウシでの事故は、当時の報道で見聞きしましたが、
偶々遭難事故報告書(全文)を読む機会が有りました。
報告書http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf

2009年夏の北海道での商業登山で、ガイド含む18名中の8名が低体温症(疲労凍死)で死亡、ヘリで救出された者5名、何とか自力下山中に報道陣に救助された者5名。
(当日も悪天候が続き、ヘリが飛べなかったら、その5名も危うく死ぬ状況でした。)

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(社法)日本山岳ガイド協会が、事故調査の為の「特別委員会」を設置し、専門家に依頼しての報告です。90余頁に及び、遭難事故の詳細と検証が記されてます。
登山に興味が有る方は、長文ですが是非一読下さい。
“自己責任”なはずの山登りを、“自己完結”する為の参考です。
何故こんな馬鹿な、大量遭難が起きたのか? 
事故当時、同じコースを縦走して無傷の、社会人山岳会6名との差は、何なのか?
組織的に、この山行の為に訓練した隊と、寄せ集め隊との差が書かれてます。
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①商業登山を主催する企業の危うさ。(この社は、後にも同様の事故を起こし廃業。)

②ツアーガイドとしての在り方。(3名中、このコース初見参が2名。リーダーは死亡。)
命を預かるガイド達3名が、互いに面識も無く・コースの下見もしない無責任。
山中で2泊3日の行動なのに、天候を知るラジオも持たず。(多分天気図も書けないだろう)
こんな奴等を“ナンチャッテ”ガイドと言う。生き残った1名は、ガイド業を辞めたと聞く。
ガイドの資格レベルは、この中に有ります⇨http://www.jfmga.com/shikakusyurui.html
命が惜しい方は、割高でも出来るだけ上級レベルで、尚且体力の有るガイドに依頼すべき。

③参加者の力量はどうだったのか?  “おんぶに抱っこ”の、登山客の姿が書かれてます。
(60代が12㌔超えの荷を背負い、平常時でも10時間超えのコースを、暴風雨の中2日も歩かされたのです。)
生還者への聞き取り調査で・・・
女性客(64歳)
主人から電話で「こんな日でも行くんか?」と言われ「それはプロであるアミューズのガイドが判断する事、それが分かるようなら、いつも独りで行くわ」と答えた。
女性客(61歳)
「ガイドからこの日のウェアリングについて特段の指示はなかった。もし風雨が強まる事を予想してそれなりの指示があったら、私はダウンを着込んでいたと思う。」
ガイド(38歳)
「ものずごい風になった。とてもではないが、まっすぐに立って歩けない風だ。記憶では冬の富士山くらいの強風だった。」
客もガイドも正に、はぁ~ッ? と思うレベルで有る・・・

報告書の冒頭でも言ってるが、人頼みで登山をする者は“他山の石”として学ぶ必要が有る。
自力で自己完結登山を目指す方は、体力・知識・経験・装備、待つ・戻る勇気が必要です。